この記事は Retty Advent Calendar 2019 25日目、最後の記事となります。
昨日は チーム開発のためのデータウェアハウスアーキテクチャ でした。
はじめに
本日は昨年同様VPoEのkosakoが担当致します。
今年のRettyアドベントカレンダーはいかがでしたでしょうか?Rettyが今年取り組んできた様々な技術領域や組織の改善など様々な記事がありました。楽しんでいただけたら幸いです。
この記事では2018年から行ってきた組織への取り組みの結果や、それを受けて開発組織全体で今年どんなことをやってきたのかその結果どんなことが起こったのかをご紹介致します。
2018年の記事の振り返り
こちらの記事にあるとおり2018年は技術、組織両面で問題が出てきており、対応を始めた年でした。
大きな指針を決め、課題をみんなで認識しカイゼンしていくためのWorking Group(以後WGと表記)などをいくつか立ち上げました。
結果としては半分ぐらいが一定以上の効果があったが、もう半分はあまり効果がなかったぐらいだと思います。
一方でもともとすべてがうまくいくことは想定しておらず、課題に対して深く話し合い解決策を模索していく習慣をつけることがもう一つの狙いでもありました。
カイゼン活動
2018年から継続したものも多くありますが、2019年で新たに取り組んだことをいくつかピックアップします。
オンボーディングの強化
昨年後半から採用に力を入れ始めましたが、同時に以前からの課題でもあった採用した人にどう活躍してもらうかへの取り組みをはじめました。こちらは半年ほどPDCAを繰り返し、やっと運営も軌道にのりました。
実際の取り組みはこちらの記事をご覧ください。考えた側、受けた側両方の側面が見えてくるかと思います。
アウトプットカルチャーの醸成
2017年以降、開発組織としてアウトプットが減っているという課題がありました。
2018年から徐々に取り組みを始め、まだ十分ではありませんが徐々に文化として根付きつつあるのかなと感じています。
こちらの記事のように、台風のため中止にはなってしまいましたがVue Fes Japan 2019へプロポーザルを出し2名採択されるなど、みんなでアウトプットを出す機会に前向きに取り組むようになってきました。
その他にも社内の技術発表会を隔週で実施しており今年は20回開催されました。登壇する人も多様化されてきておりクオリティも上がってきています。
最近ではProductManager(以後PdMと表記)版のものも開始され、毎週角度を変えた学びの共有が行われるようになってきました。
こちらの記事の詳細の発表などがこの場で行われており、誰が何をしているのか?どんな背景で行っているのか?といったことがわかるようになってきています。
コンピテンシーへの取り組み
2018年から実施しているエンジニアの評価制度の取り組みを進めていく中で、評価軸についての議論が何度かなされてきました。
Rettyではグレード制をとっていますがその定義の見直しを何度か行っており、様々なエンジニアが成長、成果の指針と出来るように考えています。
1年ぐらい定期的に議論を続けていますが、まだ半分以下ぐらいの完成度だと思っています。
この取り組みを通して、我々はなんなのか?そしてどうしていきたいのか?を考える機会が増えました。
WGの活用
これらの取り組みはほとんどWGを通して行われています。
WGはEMを中心に運営していることが多いが、議事録や参加はできるだけオープンにしてあり探しやすいようにもしてあります。
最近では大きめの課題があると自主的にWGを作って、方針や提案をまとめることも増えており自主性のある組織になってきています。
マネジメントへの取り組み
マネジメント層が薄い課題
この課題を抱えている会社はすごく多いと思いますが、Rettyでもやはり課題となっています。
こちらはEMのkeiの記事ですが、このように個別に話をして壁打ち相手をしたりしています。
まだ取り組みを一部始めたところであり、教育、育成、サポートは正直まだ全然足りていないのが現状です。
権限移譲を徐々に行ったり、マネジメントの知識を学ぶ機会をできるだけ増やすといった地道なことばかりですが、まずは背伸びせずにできることからやっています。
インフラチームの建て直し
今年は一年かけてインフラチームの立て直しを行っていました。
実のところ、チームが崩壊し誰もいない状態になってしまいそこからの再構築になります。
現状をちゃんと説明した上で採用を行い、それでも入ってくれたメンバー3名と地道に立て直しを行っていきました。インフラチームと開発チームはどうしても対立構造になりやすいため、かなり気をつけて関係性を作っていっています。オンボーディングの仕組みもここでかなり効果を発揮したのではないかと思います。
体制が整うまで各チームにはかなり負荷をかけることになりましたが、現在では協力体制がちゃんと取れるDevOps体制が整いつつあります。
12月にはここ数年検討はしていたものの、実行に移すことができなかったAuroraへの移行も無事完了させることが出来、開発とインフラが協力してプロジェクトを進めていけるようになりました。
実際の移行についてはこちらの記事を御覧ください。
engineer.retty.me engineer.retty.me
組織デザインの再構築
開発組織の再編
Rettyでは事業部制のため、複数の職種が混ざったチームが複数ある状態でした。
チームのKPIがはっきりしており、チームでやることが重ならない間はうまくワークしていましたがサービスのグロースとともにうまく機能しなくなってきていました。
役割が曖昧になっていたり、調整に大きなコストがかかるようになってしまったこともあり、組織の再編を検討しました。
当時の課題については次の項目にリンクしてあるLeSS導入の野口の記事も御覧ください。
具体的には色んな人がひとまとめにいたプロダクト部門を解体し、エンジニアリング/プロダクト/広告コンテンツの3部門に再編しました。
エンジニアリング部門は開発プロセスに責任をもち、プロダクト部門はサービスの成長に責任を持つように分けています。
広告コンテンツ部門についてはこちらの記事を御覧ください。 engineer.retty.me
かなり大きな再編なこともあり実行できるかどうかかなり難航するのではないかと思っていましたが、結果としては想定よりも早くかつスムーズに実行することができました。
理由はいくつかありますが、良くしていきたい、そしてサービスを成長させたいという想いがみんなにあり協力してくれたことが大きかったと思います。
今の所大きな問題は出ていませんが、新たなセクショナリズムを生むリスクも当然あるため細かく調整をしていく予定です。
LeSSの導入
導入についての過程や結果についてはすでに詳細な記事がありますのでこちらの記事を御覧ください。
組織全体への波及
PdM組織への波及
部門の再編とLeSSの導入を行っていったことにより、これまでプロジェクト進行が仕事の多くを占めるメンバーもいたがプロダクトを成功させる事を考える組織になってきました。
pmconfなど勉強会/カンファレンスへの参加も増えPdMとはなにか、何が役割なのかといったことを考えるようになってきています。また、LeSSの導入によりプランナー同士の横のつながりがワークし始めてきたようにも感じています。
それ以外にもエンジニア組織で先行して効果が出た事例や仕組みを取り入れていっています。成果が出るのはまだ先だと思いますが、歩調を合わせていい方向に進めていけているのではないでしょうか。
デザイナーチームへのエンジニアFBの波及
他の事例としては、同じ専門職としてデザイナーチームの事例があります。
2018年似取り組みを始めたエンジニア同士のFBの仕組みを取り入れようと検討をしており、コンピテンシーの策定なども進めているようです。
こちらもそのうちどこかで公開されるかもしれません。
最後に
2019年は今年取り組んだことをしっかり継続させていくこと、そしてその上にさらなる挑戦を積み重ねていくことが大事だと思っています。
去年のアドベントカレンダーの最後に書いた文章ですが、個人的には及第点が出せる結果だったのではないかと思っています。
もちろん課題がなくなったわけではなく、解決すると別の問題が見えてくるといったこともありやることは変わってはいきますが全く減りません。
これは社内でも繰り返し伝えていることですが、理想の形を目指すのではなく現状にあった形にしていくこと、そして変化していける体制・組織であることが大事だと思っています。
十分にできているとは言えませんが、少しづつ変化できるようになってきたのではないかなと感じているところです。
2020年ですが方向性は変わらず目指すところは、
一貫して取り組んだこととしては、チームで継続した成果を出せるような組織にしていくことです。
です。
この一年で仲間も増えたし、メンバーもチームも大きく成長してきました。来年はこのチームがアウトプットをしっかり出せるようにサポートすること、そしてそのアウトプットが大きな成果につながるような体制を作っていくことを大事にしていきたいと思います。
それでは本年もRettyをご利用くださったみなさまに感謝して、アドベントカレンダーを終わりとさせていただきます。