Retty Tech Blog

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Retty VPoE通信 Vol.3 - インテグリティについて考える

Retty VPoE(VP of Engineering : 技術部門のマネジメント責任者)の常松です。 VPoE通信は「開発のトップとして今何を考えていて、どう動こうとしているのか」の定期発信企画で、今回が3回目です。

インテグリティという言葉

12月20日に公開されただいくしーさんのブログが目に止まり、インテグリティ(integrity)という言葉が心に残りました。

daiksy.hatenablog.jp

ドラッカーがよく使う言葉だそうで、「真摯さ」「誠実さ」といった訳語があてられています。

真摯さは、とってつけるわけにはいかない。すでに身につけていなければならない。ごまかしがきかない。ともに働く者、特に部下に対しては、真摯であるかどうかは二、三週間でわかる。無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。だが、真摯さの欠如は許さない。決して許さない。彼らはそのような者をマネジャーに選ぶことを許さない。

P F ドラッカー. マネジメント[エッセンシャル版] (p.173). ダイヤモンド社. Kindle 版.

ちなみに「真摯さ」でGoogle検索をしてみると、色々な方が深掘りを試みた記事が見つかります。言葉を知らないと辿り着けないことって多いですね。

一貫性を大事にする

文字通り受け取ると「真摯さとは 真面目に/熱心に向き合うことだ」ともなりそうですが、私なら「一貫性」という日本語をあてるだろうなと考えました。 もしかしたらドラッカーのインテグリティとは外れている内容かもしれませんが「自分や組織の考え方や置かれている状況に透明性を持たせた上で、理屈に沿った行動・発言・決断を継続して行う」ことを大事にしています。

これは「自分や組織のことを伝えて受け入れてもらう」ということではありません。 世間一般で良しとされる考え方・組織が大事にする考え方・個人が信念として大事にする考え方がそれぞれあり、どれが正解とか、どちらが良いとか決められるものではありません。 とはいえ人が集まって協力するには価値観や判断基準を明確にする必要があります。 組織のビジョン・ミッションや、事業方針・事業戦略・技術戦略を定めたならば、それと普段の業務のつながりを意識して矛盾が生じないように推進していく必要があります。

また「一貫性とは一度決めたことを貫き通す」ことでもありません。 状況は変わるし、方針を変えたくなったり、変えざるを得ないことは常に起きます。 もう少し砕けた表現をすると「筋を通す」が意味合いとして近しいと思います。 都度説明を尽くして、一貫した動きを貫くことができるのかが問われている。これがインテグリティの意味するところではないかと考えています。

インテグリティを発揮し、信頼貯金を貯める

こんな話をどこかで話したことを思い出したのですが、エンジニアリングマネージャーの勉強会 EM Oasisの2024年1月回で似たような話をしていました。

エンジニアリングマネージャーとして信頼を獲得してくために、下記のことを大事にして欲しいという話をしました。インテグリティの話と通じるものがあるのではないでしょうか。

  1. 価値観・考え方を整理する
  2. 情報を透明化し、意思決定の背景を伝える
  3. 言葉と行動を一致させる
  4. 人と組織に敬意を払い、問題が解決するまで向き合う

「何を大事にするのか」を明確にし、それに基づいた行動や判断を一貫して実践することは、個人としても組織としても、信頼を築く基盤となります。 一貫性は頑なさではなく、変化に対応しながらも筋を通すことを意味します。そのためには、意思決定の透明性、言葉と行動の一致、他者への敬意が重要です。 信頼の貯金は、一朝一夕で築けるものではありません。日々の行動や決断の積み重ねが、長期的な信頼へとつながります。

各自がインテグリティを発揮し続けることで、個人としても組織としても組織やプロジェクトを強く導いていけるはずです。


この記事はRetty Advent Calendarの25日目の記事でした。 来年もRettyでは note / Retty Tech Blog / 勉強会やカンファレンスでの登壇を通じて積極的なアウトプットを継続していきます。

2025年のRettyにもご期待ください。