Retty Tech Blog

実名口コミグルメサービスRettyのエンジニアによるTech Blogです。プロダクト開発にまつわるナレッジをアウトプットして、世の中がHappyになっていくようなコンテンツを発信します。

Retty Developer Team 2021

この記事は Retty Part1 Advent Calendar 2021 25日目、最後の記事となります。

はじめに

part1の最後の記事はVPoEのkosakoが担当します。

2016年より継続してるアドベントカレンダーですが、今年はpart1がすぐ埋まってしまったため、part2まで作ることができました。

この記事も含め、38本の記事が書かれました。この記事を書く前にすべての記事に目を通し直しましたが、毎年その年がどうだったのかを振り返り、そして次の一年を考えることのできる良い機会となっております。

この記事ではこの一年のRettyの開発組織の出来事をご紹介するとともに、現状の課題や次の一年の指針といったことをご紹介します。

過去の記事のご紹介

2018年から始めたこのタイトルの記事も今年で4年目となりました。過去のRettyの開発チームの課題、挑戦などがわかるようになっていますので、ご興味のある方はお読みください。

昨年の記事で2021年の指針を「アウトカムに向き合い、非連続な成長をしていける開発組織への変化を目指す」としましたが、その結果がどのようになったのかはこのあとご報告します。

2021年 Rettyの出来事

コロナの蔓延と再度の緊急事態宣言

今年は年初から10月までほぼ緊急事態宣言やまん防が発令された状態となりました。Rettyは外食領域のサービスのため影響はもちろん大きく、施策も打ちづらく耐えて仕込みを続ける期間となりました。

PayPayボーナスの獲得機能追加

そのような中で行った仕込みの一つが、PayPayボーナスの獲得機能となります。昨年Go To Eatでの開発を経験したことによにより、難易度の高いプロジェクトをスムーズに進められるようになってきた時期です。

人気店、ユーザー詳細のリニューアル

その後、短期だけでなく、中期的な戦略のもとに人気店やユーザー詳細など比較的規模の大きいプロジェクトが進みこちらも大きなトラブルもなくリリースすることができました。

結果はまだこれからですが、仕込みは確実に進んでおり結果が見える時期も近いのではないかと思っています。

詳細については、下記の記事をお読みください。

ビジョンのアップデート

先日23日株主総会があり、そこでRettyの新ビジョンの発表がありました。

旧ビジョン:食を通じて世界中の人々をHappyに。

新ビジョン:新たな「食体験」を創り上げ、人生をもっとHappyに。

経緯などの詳細は記事に記載がありますが、私もアップデートプロジェクトに加わり今後10年のRettyにはどのようなビジョンがよいのか?といった議論を繰り返しました。

ビジョンは誰のものか?ビジョンとミッションの違いとはなにかといったところから議論を重ね、納得行くものができたと思っています。

ビジョンの浸透はこれからであり、プロダクトや組織に現れてくるのはこれからとなります。

技術面での振り返り

昨年2020年はコロナによる混乱とその後のGo To Eatの開発があり、技術投資がほとんどできなかった年でした。しかし2021年はバランスをとりながら新しい仕組み、取り組みもしっかり行うことができました。

その内のいくつかをご紹介します。

マイクロサービス化の促進

Rettyでは長らくPHPをサーバーサイドのメインの言語として使用していました。様々な課題感から2018年からマイクロサービス化への取り組みを開始しましたが、今年に入りやっと移行が軌道に乗ってきました。

こちらの記事にもある通り、サマーインターンでもマイクロサービスを題材にし小回りの効くシステムへと着実に生まれ変わろうとしています。

現在ではGoがメインの開発言語となりつつあります。正確に測定はしていませんが、新規で書かれるコードの半分はGoになっていると思います。今後1-2年で7-8割までは上がっていく想定です。

先に紹介している、ユーザー詳細や人気店といった新しい機能はほぼマイクロサービスで作られています。また、認証基盤といった基本機能などの移植も進んでいます。

現在は検索基盤の移行を始めており、新しいアーキテクチャへの移行がプロダクトロードマップも反映されるようになり計画的に進むようになっています。これはいくつかの開発を経て、マイクロサービスへの移行をすることにより開発がスムーズになること、バグや障害が少ないことなどのメリットを企画もふくめて実感してきたことが大きな要因ではないかと感じています。

パフォーマンス改善、運用改善、シンプル化

今年は各所でパフォーマンスの改善や、運用コストを下げる仕組み、システムのシンプル化といったことが進みました。 全社として目標に掲げたわけではないのですが、今後の開発を見据えたときに必要なタイミングだっと言うことになる気がします。

数年以上前から課題になっていたものも多く(自分が作った課題もあります)、今年やっと解消できたというものもあります。これらの改善が余裕を生んでくれることで、次の課題や挑戦ができるようになっていきます。

現在これ以外にも、分析基盤などを含め構成をシンプルにしていこうと進めています。システムは月日とともに複雑化していくものですので、過去の要件や技術がどうしても負債として残ってしまいます。これを定期的に見直し継続してシンプルにしていくようにすることが大事だなと実感しています。

組織面での振り返り

組織面では目立つような目に見える変化は少なかったかもしれません。ですが、自分としてはここ数年で最も大きな変化が内面的にはあったと感じています。

採用

Rettyでは新卒にも積極的にアウトプットの機会を与えており、半年の振り返り記事などもこの時期に行っています。もちろん複数の目的がありアウトプットを習慣づけてほしい、採用につながるといいななどありましたがそれほど強く意識していたわけではありませんでした。

ですがこのブログをみて応募してくれたり、入社してくれたりといった事例が出てきました。自然な流れでこのような事例が増えてきており、頑張りすぎない技術広報が形になりつつあるのではないかと思っています。

自己組織化されたチームへの変化

昨年のアドベントカレンダーでチームに関する記事が増えたことをご紹介しました。今年もそれなりの数あるのですが、その質が大きく変化したと感じています。

自走して改善が続くAgileな組織になりつつあり、自己組織化が進んでいます。自分の知らないところでたくさんの変化、改善が行われており余計なことをしなくても任せておけば良いものがどんどん増えていっています。

権限移譲や、自己組織化といったものを目指していましたが今がその状態なのだなと改めて気が付きました。もちろん全てにおいて問題がないわけでも有りませんし、まだまだなところやこれから問題になることもあるのでしょうが大きな方向性としては間違っていないと感じます。

アウトカムへ向き合う組織へ

アウトカムに向き合い、非連続な成長をしていける開発組織への変化を目指す という今年の指針ですがSlackでアウトカムを検索してみました。

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なんと2020年は10件しかなったことに驚愕しました。そして2021年は594件と約60倍も増えていました。

VPoPの野口の記事でもありましたが、彼がアウトカムを根付かせるための仕組みや取り組みを積極的に行ってくれたことも有り、アウトプットとアウトカムをしっかりと分けて考える、アウトカムを大事にするメンタルモデルがしっかりとインプットされたのではないでしょうか。

またプロダクトロードマップへの取り組みも進み、中長期も見据えたアウトカムへ意識も向きつつあります。

これからの課題

来年で解決できるかどうかはまだわかりませんが、現在感じている大きな課題をご紹介します。解決したい、なんとかしてやるぜという熱い想いをお持ちの方はぜひご応募お待ちしています。

hrmos.co

アウトカムの結果

アウトカムへの意識は強くなったものの、コロナの影響もまだまだ大きくアウトプットをアウトカムにつなげきれていないという現状があります。

これは仮説検証や、因果ループの見直しを繰り返す事により精度は上がっていくものだとは思いますがなかなか歯がゆい状況が続いているのも事実としてあります。

また、アウトカムへの意識が高くなったことによりコミュニケーションに関する課題も出てきているように感じます。

一方で今年書かれた記事や、社内勉強会での登壇内容を見てるとこれらの問題はいずれ解決されるものではないかとも思います。

ビジネスとプロダクトとの融合

事業を推進できるバックログとロードマップの運用にはまだまだ課題があると感じます。

こちらの記事にもある通り、こちらは今年取り組みを始めたばかりです。まだ解がある状態ではないのですが、問題があるということは伸びしろがあるということと前向きに捉えて日々奮闘しています。

最後に

すでに触れてはいますが昨年同様に一昨年、昨年の記事の最後に書いた指針を振り返ってみます。

2020年の指針

一貫して取り組んだこととしては、チームで継続した成果を出せるような組織にしていくことです。

2021年の指針

アウトカムに向き合い、非連続な成長をしていける開発組織への変化を目指す

結果としてはアウトカムへの向き合い方は十分。あとは結果を出していくことが大事なフェーズです。非連続な成長をしていける開発組織への変化も下地は十分整ったと思います。

2022年に向けて

コロナはまだ終わりが見えたわけでは有りませんが日常は戻りつつあります。そんな中ですがRettyはビジョンも新しくなり、次の成長に向けて進まなければいけません。

そのために来年2022年、Rettyの開発組織はどのようになっていなければならないかを考え指針を定めました。

組織をスケールしつつ、安定したアウトプットからアウトカムを確実に引き出すことを目指す

大きな変化はなくとも、現状の積み重ねから大きな結果を得ることができると感じています。その意味では来年は変化よりも結果にフォーカスする年になるのではないかと思います。 また途中経過はこのブログやnoteなどで見れると思いますので、ご覧いただけたら幸いです。

それでは本年もRettyをご利用、応援してくださったみなさまに感謝して、アドベントカレンダーを終わりとさせていただきます。

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