この記事は Retty Advent Calendar 2020 2日目の記事です。
はじめに
マネージャーの常松です。 2020年10月1日に始まったGo To EatキャンペーンではRetty内の開発責任者をつとめ、胃が痛い日々をここ数ヶ月過ごしていました。 本記事ではキャンペーンを裏から支えてくれたサービス Voucherifyを紹介します。
Go To Eatキャンペーン "オンライン飲食予約"の仕組み
Go To Eatキャンペーンは農林水産省主導のキャンペーンで「プレミアム付き食事券」と「オンライン飲食予約」の2つから構成されます。 Rettyが参加したのは後者のオンライン飲食予約です。
オンライン飲食予約サイト経由で、キャンペーン期間中に予約・来店をしたお客様に対し、次回以降にキャンペーン参加飲食店で利用できるポイントを付与します。
本キャンペーンに参加する上で最も悩んだのが キャンペーン参加飲食店で利用できるポイント をどう実現するかでした。 既存のポイント機構や電子マネーと連携した還元の仕組みは他社でも事例としてみたことがありますが、今回キャンペーンの隠れた要件として「キャンペーン参加飲食店以外では利用できないポイント」にする必要がありました。ポイントを切り替えてGo To Eatキャンペーン以外の用途で使えることはダメといういうものです。 ほとんどのポイント管理サイトは切り替えの仕組みを持っているため、これをお願いしてできなくしてもらうか、自社で独立してポイント管理の仕組みを構築する必要がありました。
Rettyでも悩んだのですが「ポイントは自社で管理する」「ポイント表記だと既存のポイント機構・電子マネーと連携できるイメージが強いため、500円単位で使える電子クーポンとして扱う」「ポイント・クーポンの発行・消化・管理に関するノウハウはRettyになかったため、SaaSを活用する」の方針を早期に固め、見つけたのがVoucherifyでした。
Voucherifyとは
ポーランドのrspective社が提供しているプロモーション管理サービスです。
今回のキャンペーンではポイントベースの管理ができる「Loyality」の仕組みを使って構築しましたが、他にも一定額がチャージされたカードを発行するGiftcard(スターバックスカードみたいなやつです)、紹介による割引「Refferals」、注文時の割引「Coupons」、値引きオファーが出せる「Promotion」、条件を満たすユーザーへのプレゼント「Giveaway」とプロモーションでやりたいと思いつくような還元の機構が一通り提供されています。
プロモーションが発生するルール、利用されたかのトラッキング、個人・全体での予算消化管理など、プロモーションが意図せぬ使われ方がされることを防ぐためのルール設定が使えるようになっており、これを自社で学びながら構築することは困難だったと思います。
今回のキャンペーンではクーポン付与・消化のマスターデータをVoucherify側に置き、Voucherifyへの通信を代理するサーバーを立てる設計を取りました。アクセスの急増など、Retty側サービス稼働が不安定な時間も期間中はありましたが、マスターデータが実績のあるサービスできちんと管理されている安心感は大きかったです。
なぜVoucherifyを選択したのか
ドキュメントがよく整備されている
主要言語向けのSDKもGitHubで公開されていますが、WebAPIのドキュメントが充実しているため、今回はSDKを使わずに実装しました。
WebAPIのドキュメントも一目見て安心できる完成度です。「Voucherifyを使おうと思っているんだけど・・・」と切り出した時に不安な顔をしたエンジニアもこのドキュメントを見た時はにっこりでした。
コスパがよい
プラン・価格はここで確認できます。課金の主な対象は「一月当たりのプロモーション消化数(redemption)」と「1時間当たりのAPIコール数」です。RettyではEnterpriseプランを契約しました。価格を問い合わせる"Talk to us"のボタンがどきどきさせますが、契約は明朗会計で急激に値段が上がることはありませんでした。Growth → Professional → Enterpriseと使用量に応じてほぼ線形に費用が増える想定で大丈夫です。Enterprise契約だと課金対象の2つの上限を決めて申告・契約に含める必要があるのですが、プラン変更の手続きはVoucherify側ですぐにしてもらえるため「一月当たりのプロモーション消化数」は少なく始めて徐々に増やしていく、「1時間当たりのAPIコール数」は余裕を大きくとっておき、徐々に少なくしていくのがオススメです。
ちなみにSaaS選定にあたり、国内外の類似サービスも調査してみたのですが、私たちの想定用途だと30倍から40倍の価格差がありました。本当にVoucherifyさまさまです。
コミュニケーション・サポートはどうだったの?
サポートは英語メールで対応していただきました。 ポーランドとは時差が8時間ありますが、応答はいつも早く開発でもキャンペーン開始後の相談でもここが問題になることはありませんでした。 私の拙い英語でも都度意図を汲み取ってくださったので、DeepLがあれば意思疎通は問題なくできるかと。
思い出深いエピソードといえばキャンペーンでポイント付与が近々終了するとアナウンスがあった11月13日の出来事です。 駆け込み予約需要で急激にアクセスが増加し、平時の数倍アクセスがありVoucherifyとの契約上限も超えてしまう状況になりました。 金曜日の夕方に相談メールを送ったところ、すぐに一時的に上限緩和の対応をしていただきことなきを得ました。
他にもキャンペーン開始時期がなかなか決まらない中、開発のために契約プランの更新タイミングやテスト環境の提供などでいろいろ融通をしてもらい、ポーランドには足を向けて眠れません。
おわりに
Voucherifyは用途が合えば多機能でコスパ最高の神サービスだと思っています。
日本での事例・日本語での紹介記事が無いようなのでVoucherifyへの感謝を込めて本記事を書きました。 興味を持ったら是非みなさまのサービスでも使ってみてください。自分たちで構築するよりもずっとずっと楽にいろいろできるはずです。
追記
Voucherify社のケーススタディに加えていただきました♪