Rettyのデータをプロダクト価値に繋げる方法 ~新卒6ヶ月の振り返り~

こんにちは、19卒でRettyに入社したデータアナリストの渡邉です。業務では主にプロダクトに活用されるアルゴリズムの開発と、データ分析基盤の運用管理の2つを担当しています。

まずは簡単に自己紹介したのち、次に表題通り「データをプロダクト価値に繋げる方法」についてご紹介します。


Rettyのデータアナリストチームに来た理由

大学時代は確率統計学のゼミに入り、確率統計学計量経済学の勉強をしていました。 またメカニズムデザインの実証研究がしたく、大学院進学を志していました。

しかし院進の志しが諸事情により頓挫し、就活へと方向転換をした折に、ちょうどRettyで長期インターンシップに参加していたこともあり選考へと進みました。そして最終的には、プロダクトの評価軸が組織で一貫していることが決め手となり入社を決意しました。

プロダクトの評価軸が組織に浸透していること

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ここで云うプロダクトの評価軸とは、「食を通じて世界中の人々のHappyに」というビジョンです。このビジョンが確かに組織に浸透しているため、定性的な評価軸が普遍化されています。このとき我々は以下のようなメリットを享受できます。

  • 企画の定性的な観点(ブランド価値など)に、一定の信頼を前提に取り組める。
  • サービス上のUI/UXデザインが複雑化せず、分析設計やログデータの複雑化が抑えられる。

以上から、定量的な観点の責任を負うデータアナリスト、またプロダクトのコアコンピタンスを担うアルゴリズム開発者が、安心して業務に取り組むメリットに繋がると考えています。またこの観点については長期インターンを通じて確証を得ていたため、あまり迷うことなく新卒入社を決意しました。

データをプロダクト価値に繋げる方法

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大まかな施策サイクルと、それに対するデータ活用全体の役割

上記の図はRettyのデータアナリストチームの担う役割の概観です。この半年間は冒頭で述べた通り、プロダクトに活用されるアルゴリズムの開発(上記③)と、データ分析基盤の運用管理(上記⑤)の2種に従事していました。 以降では表題通り、「データをプロダクト価値にする方法」について、アルゴリズム開発に着眼してお話しします。

アルゴリズム開発

Rettyのサービスには随所にアルゴリズムが導入されており、ユーザーさんのより良いお店を探しをサポートする役割を担っています。自分はそれらのうちの重要な幾つかを担当しており、プロダクト価値の重要な部分のため責任は重大ですが、適切に改善を行う手立てがあるため程よい緊張感で取り組めます。その理由は、以降でお話しする「企画の質を保つ努力」を続け、「アルゴリズムはただの手段」という考えのもと、価値提供の目的から逆説的に思考し、価値を担保する仕組み作りを徹底することが、データをプロダクト価値に繋げる方法だと認識したからです。

企画の質を保つ努力

アルゴリズム開発は、企画理解と評価設計が大事

が、まずココでお伝えしたい話です。アルゴリズム開発者の立場ですが、その業務の大半はプランナーとして企画理解を行い、アナリストとして評価設計を行うことに終始します。

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企画理解を進めるための観点

まず企画理解の点においては、企画の完成系から逆算して上記の観点を擦り合わせます。このとき特に気にする点は企画の肝である「UI/UX」と「KPI/KGI」の観点です。

その「UI/UX」は本当に顧客が欲しいものなのか、その裏付けは定量的/定性的なリサーチを経たものものなのか、お店やユーザーさん毎に絶対的か相対的な価値なのか、などの問いを出して擦り合わせます。

そして「KPI/KGI」は本当に事業上の必要性に従うか、KPIツリーの別要素の方が適当ではないか、ビジネスに貢献するがプロダクトブランドの毀損に繋がらないか、などの問いを出して擦り合わせます。

また上記意外にも、弊社あるあるの努力としては、飲食店に、実際に脚を運びもします。例えば自分はオフィスのある麻布十番をスタート地点にして、様々なジャンル・エリア・価格帯で食べ歩きをしました。この努力を継続したところ体重が5kgほど増量しましたが、結果として擦り合わせの議論も円滑になり、プロジェクト進行に活きています。名誉の肥満です。

アルゴリズムはただの手段

実験がさき、手法は後

が、ココで加えてお伝えしたい話です。適切な評価基準・実験設計がなければ、価値提供の現状と伸び代を把握することができません。ましてや利用するアルゴリズムやその他手法など選択することは不可能です。そのため企画理解の次には、適切な評価指標に転換して、安定的な実験体制を構築します。

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評価基準・実験設計で考慮する要素群

上記が評価基準のときに考慮する大まかな要素群です。横軸と縦軸の組み合わせで計4要素を検討します。

縦軸の評価基準では、ユーザーさんへの価値提供が最も大事な観点として置きつつ、アルゴリズムの精度向上は別軸として置きます。なぜなら両者は相関し合いはしますが、効果が逓減するタイミングがあるからです。企画はアルゴリズム以外の複合的な価値で提供されるので、アルゴリズムの精度は追求しますが、全ての責任を此処に負わせるのは不適切だと考えます。

横軸の評価基準では、Rettyというプロダクトとして厳守しなければならない「規則」と、より良い状況であればプロダクトとして良いと判断できる「基準」に分けています。利用ユーザー数は多いけれども、実態として嫌々使わざるを得ない機能を提供している可能性もあります。またアルゴリズム精度の高さだけでなく、ハック対策がされているなどのシステムの完成度・堅牢性の高さを評価する必要もあると考えます。

次に実験設計について大事にしているのことが、定量検証だけなく定性検証も行うことです。特に評価基準の要素④に関しては、データや簡単な定量検証だけで判断できないものが混入することがあります。これらを検知し判断できる実験設計を考えること、また検知する時に無視しても良い(セレンディピティの可能性)基準を設定することで、定性と定量のバランスをとることが大事です。


これから何をしたいのか

長期インターンからこの記事公開まで、おおよそ1年半もRettyでデータアナリストをしてきました。Web/Appチームの意思決定支援、アルゴリズム開発と改善サイクル作りを経たうえで、これからは

サイエンスがビジネスで圧倒的に活躍するための環境づくり

に尽力したいと思います。「アルゴリズムはただの手段」なんて上述しましたが、隠さず言えば、ML・数理最適・因果推論・レコメンド周りの実装にガッツリ取り組みたいこともまた本心です。

ただそれ以上に、企画や分析の価値が属人的なものになるのを良しと思いません。スキルやコミュニケーション力の高い人材が関わるから価値が在るのでなく、その企画や分析自体に価値があるから在り続けられるのが、本質的に価値がある状態だからです。

そのため地道な努力ではありますが、適切に企画設計を協働し、丁寧に評価基準・実験設計を行い続け、その時折で最善の手段としてサイエンスが圧倒的に活躍する環境を作るため努力していきたいと思います。