こんにちは!今年の4月からRettyにデータアナリストとして入社しました飯田です。
この記事では、入社経緯や日々行なっている業務を簡単にご紹介した後に、「私がRettyに入社してから学んだ、意思決定につながる分析と3つの心がけ」について書いていきたいと思います。
分析を進める際にこれらを心がけるようになり、分析が意思決定につながりやすくなりました。結果として、自分だけでなくチームの生産性向上に貢献することができました。当たり前のことだけれどすごく大事だと感じているものなので、半年間の振り返りも込めて書きました。結構実務よりな話しになってます。
「Rettyのデータアナリストってどんなことしてるの?」
「データアナリストってどういうこと考えながら仕事してるの?」
などご興味ある方はぜひ楽しんでいただければと思います。
どんなことをしているか?
現在私が所属する分析チームができたのは2018年4月。記事執筆時点でメンバーは5名で、うち3名が今年の新卒入社という、少数かつ若いチームとなっています。
Rettyにはデータを元に意思決定をするという文化が根付いているため、領域や大小問わず様々な面で分析チームが活躍できる土壌が整ってきており、非常に動きやすい環境です。
私はもともとプロダクトやサービスを作ったり触ったりするのが好きで、学生時代は4人でiOSアプリを作ったり、知り合いの個人塾の方向けの予約管理システムを個人で作ったりしていました。また、休学してアフリカのベンチャーで長期インターンをするなど、とにかく面白そうだなと思うことにとことん挑戦していました。
Rettyとの出会いは、アプリを作っているときに実装方法で悩み、話しを聞いてみようと参加したRettyのエンジニア向けのミートアップでした。そこで社員と話しをするうちに、世の中をHappyにしたいという想いが働く人やサービス作りに浸透している点、組織の規模的に比較的少数でやれることが多そうだった点に惹かれ、Rettyに行くことを決意しました。
入社してからは、主にWebのグロースに関わる意思決定をサポートする立場として分析を行ってきました。Rettyを利用するユーザーの大半はWebユーザーであり、そこで行われる施策の意思決定に貢献できるという意味で、日々大きなやりがいを感じています。
具体的にやっていることは、KPIの設定から、施策の狙い目特定、施策の試算や効果検証、数値進捗モニタリング用のダッシュボード作成など、非常に幅広いです。
以下では、これまでの経験を通して学んだ、意思決定につながる分析をするための心がけについて述べていきます。
意思決定につなげるための3つの心がけ
自分たちが目指している目的、目標へ早く到達するためには、それらと現状との差を最も大きく埋めることができる道を見つけ、選択することが重要です。施策のやる/やらないの判断、優先度決め、テスト施策をサービス全体に反映させるかなど、サービスを改善していくにあたって様々な意思決定が必要となります。そしてその意思決定によりアクションが生まれ、組織やサービスに変化が生まれます。
分析チームの大きな役割の1つは、その意思決定をサポートをすることです。そのため、そもそも意思決定につながらない分析はほとんど意味をなしません。
意思決定につながる分析をするためには、大きく以下の3つの要件を満たしている必要があると考えています。
- 答えるべき問いが明確になっている。
- その問いに答える方法が明確になっている。
- その問いに答えれば、意思決定とその後のアクションにつながる。
これらの要件を満たす上での大切な心がけが以下で述べる3つであり、分析をするにあたって私が日々心がけていることです。
① 意思決定者との密なコミュニケーションで認識のズレを防ぐ
分析チームに配属され始めた当初は、意思決定につながらない分析を多くしてしまい、時間を無駄にしてしまったことがありました。
多くの場合、答えを出すべき問いを明確にしていなかったり、問いに対して適切なアウトプットを出せていなかったことが問題でした。 これらは、意思決定者とのコミュニケーションを密に行なっていれば防げるものばかりでした。コミュニケーション不足は分析者と意思決定者の間での認識のズレに繋がり、結果として意思決定に使えない分析をすることになります。
これを防ぐためには、分析初期の段階で、分析の背景や問いを明確にし、その問いへの答えの形を意思決定者とすり合わせる時間を作ることが大事です。 この時に、直接話すことが非常に大切で、チャットベースでは出て来なかった前提条件や認識のズレを事前に解消することにつながります。 特に、自分があまり詳しくない領域の分析をする際には、意識的にこの時間をとるようにしています。 知らない前提が潜んでいる可能性が高く、これらを知らない状態で分析結果を出しても見当違いになる可能性が高いからです。
また、初期に要件を明確にしたと思っていても、分析を進めていき、解像度が上がっていくタイミングで、当初想定していなかった疑問が生まれることがあります。 そんな時に、これでいいかなと自己解決するのではなく、必ず意思決定者に確認をとるようにしています。方向性を変えうるものであれば特にです。 これにより、最終アウトプットの精度が上がり、意思決定につながる分析ができるようになりました。
② 意思決定の先のアクションを見据える
分析に入るタイミングで必ずするようになったのが「この分析はどんなアクションにつながるのか?」という問いかけです。 意思決定をすると、その先には誰かの何かしらのアクションが生まれることになります。そのため、アクションを想定した分析をすると、なぜ今その意思決定が必要なのかや、意思決定にあたって必要な指標などの要件を考えやすくなります。意思決定者とコミュニケーションをとる際にも、この点を強く意識するようにしています。
アクションを想定する上で、事前に以下の項目を明確にするようにしています。
- アクションを起こす目的
- 想定されるアクション
- アクションを起こす人・チームとその状況(アクション可能な状態か)
- アクションを起こす時期
意外と見落としがちなのは、3つ目の「アクションを起こす人・チームとその状況」を把握することではないでしょうか。これは、意思決定者がアクションを起こすチームに所属していない時に特に重要な観点となります。
例えば、分析を通じてある指標を改善する上での重要な変数を特定できたとします。しかしその変数に直接アプローチできるのは、意思決定者が属するチームAではなく別のチームBだった、ということが起こることがあります。その場合、元々動く予定だったチームAにはリソースはあるものの、チームBにはその余裕がなく、結局アクションに繋がらないということが起こり得ます。実際にこのようなケースを経験して、非常に苦い経験をしました...。
手を動かす前に上の4項目を確認するようにし、各関係者とのコミュニケーションの時間を作ったことで、目的に合致したアウトプットを出すことができ、意思決定に繋がりやすくなりました。
③ アクションの影響範囲を明確にして、懸念点を解消する
分析チームでは、施策案の試算や、施策の効果検証を行っています。 その際に、改善対象となる指標だけでなく、それ以外の指標への影響も見ることを心がけています。 指標Aにはポジティブだけれど、指標Bにはネガティブな影響がある、というケースは多く存在するからです。そして厄介なことに、それぞれの指標を別々のチームが追っていることがあります。
実際にあった例が、売り上げには寄与するが、ユーザー体験を損ねる可能性があった施策です。 ある1つの指標を追っているチームからすると、それに対して直接影響しない別の指標への関心が低くなりがちです。 結果として、短期的で局所的な施策が生まれやすくなってしまいます。
客観的な事実を元に意思決定を支援する分析者にとって、施策の影響範囲を明確にした上で分析アウトプットを出し、関係チームへ説明することは重要です。そのため、分析設計時に影響範囲はどこまでで、それはどの指標で明らかにでき、誰にとって関心があるかをクリアにするようにしています。この心がけが、懸念点を解消した上での自信を持った意思決定と、別チームからの反対意見による施策取りやめという最悪の事態の回避に繋がります。
おわりに
これまでの1年間で数多くの分析を行ってきました。配属当初はなかなか意思決定に繋がらず、モヤモヤした日々を過ごしていました。しかし、上記3つの心がけを通して、「答えを出す問い、答えの形、答えた後の意思決定」を明確にすることで、スムーズな意思決定につなげることができるようになってきました。 次のステップは、よりインパクトが大きな意思決定につなげる確度を上げることなので、さらに精進していきたいと思います。
Rettyのデータ分析チームは、経営層やマネージャー層の意思決定に直接関与することができる、とても刺激的で面白い環境で仕事ができます。 一方で、出したアウトプットには責任が伴います。自分が出したアウトプットによって組織の動きが変わり、Rettyというサービスのあり方も変わってきます。
そうした環境の中で、分析チームはこれまでプロダクトのグロースをメインとした意思決定に貢献してきました。 これからもその貢献度を上げて行く必要がありますが、同時にまだまだ踏み込めていない領域があります。 それは、ビジネス領域における意思決定支援です。 これから本格的に入り込んでいく領域のため、現時点ではどのように貢献していくことができるか明確ではありません。しかし、分析者としてのスタンスは変わらないと思っています。
施策の目的や影響範囲を理解した上で、意思決定につながる分析を行っていく。
分析の対象が変われど、このスタンスはしっかりと持ち続けていきたいと思います。