はじめに
Rettyアプリチームリードエンジニアの@imaizumeです。
2025年9月19日から21日に開催されたiOSDC Japan 2025に参加し『VisionFrameworkで実現する - プライバシーに配慮した「顔ぼかし」機能』というタイトルでレギュラートーク登壇してきました。
本エントリでは今回の登壇・参加の概要について報告させていただきます。
発表概要

今回の発表では、Rettyアプリが2024年1月から提供している「ぼかし機能」で使用しているVision Frameworkについてお話させていただきました。
ぼかし機能は投稿時に映り込んだ人物の顔を認識し、自動でぼかすことで店内の内観写真を投稿しやすくするRetty iOS/Androidアプリの機能で、投稿画面にある写真編集画面から利用できます。
本機能では写真に映り込んだ人の顔を認識し、その範囲に自動でぼかしをかけるという処理をしています。
このときの顔判定に、iOSアプリではVision Frameworkの顔認識APIを利用しています。
発表では、機能の概要からVision Frameworkの概要に加え、iOS18での変更点や他の顔認識技術との比較について触れつつ、Vision Frameworkを使った機能開発事例としてお伝えさせていただきました。
当日は最も大きな部屋での発表となり、多くの方にお越しいただきました。
Ask The Speakerやフィードバックでは「Vision Frameworkのプロダクション導入事例を聞けて良かった」「Vision Framework自体は知っていたが、iOS18からの変更点やConcurrency対応強化については知らなかった」といったお声を多くいただくことができ、準備も大変でしたが発表して良かったと心から思うことができました。
本機能を開発した当初、自分も顔認識をプロダクト開発に導入するのは大変難しいことだと考えており、開発にあたってAppleのAPIでここまで簡単に画像解析ができることに大変驚いたものです。
また今回のiOSDCでは、本発表以外にもレシート解析、バーコード、動物の肢体判定といった様々な分野でのVision Frameworkに関する発表がされていたのも印象的でした。
Vision Framework自体はiOS11から存在する比較的古い技術ではあるものの、毎年の新API登場やモデルの進化に伴う精度向上、そして弊社も含めたプロダクション導入が広まってきた結果であるのかなという感覚がありました。
発表では話せなかったこと
これだけの発表をしたのですが、実のところ私自身は比較的上流工程でプロジェクト管理の役割を担当していたため、ぼかし機能の実装にはほとんど関わっていませんでした。
当時は体験の設計やスケジュール管理といったタスクを担当しており、実装の詳細については他のメンバーに任せていたため、本発表をするまで知らない部分も多かったのです。
そのため改めてコードや動作を追う中でVision Frameworkのすごさや、当時のメンバーが実装したコード上の様々な工夫を知って、自分自身もエンジニアとしてかなり勉強になりました。
同様の理由で技術的な部分の背景理解には自信がなく、参加者の期待に沿える発表となるかどうかがかなり不安でしたが、結果としては多くのポジティブなフィードバックがいただけて大変ほっとしている次第です。
またこれも余談ですが、本機能の開発はあるチームメンバーからの雑談中の軽い提案から始まったものでした。
当時アプリでの投稿数や内観写真を増やすという目標があり、そのためのアイデアを考えていた時、メンバーの一人が「Vision Frameworkを使えばこんな機能が1ヶ月もかけずに作れますよ」と提案してくれすぐにデモ版も作ってくれたことで、チームとして本格的な開発を始めることになりました。
技術的な面白さ・目新しさだけではなく、事業目標に対する手段としても合致していたことで、リリースまで短期間で実現することができました。
このようなエンジニア主導で新機能が開発された事例はまだまだ少なく、スピード感とユーザー視点を持って提案からリリースまで実現してくれた優秀なメンバーには、改めて感謝をしたいと思います。
なお今回は顔認識APIについてのトークでしたが、料理写真の分類についても実験したことがありますので、気になる方はぜひこちらのエントリもご覧ください。
おわりに
今回は3年ぶり3回目の登壇でしたが、新しい会場でまた前回登壇時は半リモート開催だったこともあり、改めて新鮮な気持ちで臨むことができました。
またトーク以外にもスポンサーブース巡りや開発者の方とのコミュニケーションでとにかく充実した濃い3日間を過ごすことができ、一年で一番と言っても過言ではないほどよい思い出となりました。
来年以降も、iOSDCには何かしらの形で関わって行きたいと思います。
参加された皆様、スポンサーの企業様、スタッフの皆様本当にお疲れ様でした、そしてありがとうございました!
