"ユニコーン企業のひみつ"のここがオススメ!

はじめに

2021年4月に発売されたこちらの書籍を、翻訳者の角谷さまから献本いただきました。 親しみやすい文体で短くまとまっており、楽しみながらあっという間に読むことができました。

どんな本なのか?

Spotifyにおける開発プロセス改善の事例紹介」だと私は感じました。「このやり方をするとユニコーン企業になれるよ」ではなく、「ユニコーン企業と呼ばれるくらい急激に成長する会社はこういう原則を心掛けておかないと成長が止まっちゃうよ」という話かと。とはいえテック企業の強さの源泉はたゆまぬ改善スピードにあり、この本で繰り返し強調されている「技術を一級市民扱いする」「チームを信じて任せる」ことは必須要件とも言えるでしょう。 開発組織・開発プロセスを考える人だけでなく、プロダクト開発に直接携わらないメンバーに読んでもらう1冊にするにも良さそうです。

文化に根ざした開発プロセスの改善は時間がかかる

スクワッド・トライブ・チャプター・ギルドで有名な「Spotifyモデル」と呼ばれるマトリクス組織の話や、カンパニーベット・DIBBといった優先順位をそろえるためのフレームワークSpotifyリズム」の話も出てきますが、解決できるかもしれない一事例として取り上げただけで、これを取り入れるべきだとか読者が動くことは筆者の期待するところでは無いかと思います。実際に「Spotifyモデルをコピーするな」という話もありますしね。

Rettyでスクラムによる開発が当たり前になってじき2年が経ちます。 しかしアウトプットでなく、アウトカムに目を向けた議論が社内で増えてきたなと感じられるようになったのはようやく最近のことです。 意図が一度の説明で伝わることはなく、手を変え品を変え、皆が自分の言葉で語れるようになるまで根気強く繰り返すことで始めて本当の変化が生まれるのだと私は考えます。

今から始めたら3年後には違う景色が見えるよ

Rettyで最近取り組んだことに中長期のロードマップづくりがあったのですが、やることが絞り込めず議論で苦労をしました。 Spotifyでも会社として取り組む課題整理「カンパニーベット」を始めた当初は65もやることが挙がったと書籍で紹介されており、「やはりこういうレベルから始めていくしかないんだな」と思い知ったことが本書で一番印象に残っています。

Spotifyモデルが8年前(2013年)、Spotifyリズムが5年前(2016年)と考えると、「アジャイルは今やふつうになった。差別化要因にならない」という著者の主張も納得です。

Spotifyは何年もの時間を投じて、自分たちの文化、メンバーへの期待、サポートの枠組み、中間管理職やリーダーシップなど、SpotifySpotifyたらしめるのに必要なすべてを生み育てた。近道はない。でもやるしか無いんだ。

開発プロセスへの投資は複利で効いてきます。

本書はあくまでSpotifyの話であって、この本に刺激を受けた各社の取り組みが花開いて、数年後にいろんな企業の事例が読めると良いなと思っています。 願わくばRettyもその一角を胸を張っていますように。

終わりに

Rettyでもアジャイルな開発が継続してできるよう、時に基本に立ち戻り・日々の難題に向き合って試行錯誤を繰り返しています。

[参考:直近の対外講演資料]

ここ3世代の新卒メンバーはスクラム以前の開発を知らず、スクラム以外の開発プロセスも知りません。 アジャイルネイティブと呼べるメンバーの割合は毎年少しずつ増えています。

この書籍を読んで「こんな開発をやってみたい」「自分なりのアジャイルなやり方を追求したい」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ一緒にやっていきましょう。